(2020.6.16)記者発表:6月県議会・一般質問への所感

6月16日、県政記者クラブにおいて、6月県議会・一般質問終了を受けての記者発表を行いました。以下、その内容です。

【県議会全般に関して】

・本会議の一般質問においては、9名の議員のうち、1名(その他、関連質問が1名)しか条例案に関する質問を行いませんでした。たとえば宮城県議会の本会議では、20名中10名が条例案に関する質問(代表質問・一般質問)を行っており、その差は歴然です。なお、加藤県議の一般質問、および大井川知事の答弁の内容に関する所感は、後ほど申し上げます。

・このように議論が低調なまま、18日(木)に常任委員会(連合審査会)を迎えるわけですが、一部報道では、「県議会のほぼ7割の議席を有するいばらき自民党は18日朝に態度を決める見通し」とされています(6月13日付「毎日新聞」)。委員会審議、つまり執行部からの説明聴取と質疑、参考人からの意見聴取と質疑に先立って「態度を決める」という転倒が生じるのは、「審議」と「討論・採決」が連続して行われるという審議スケジュールによる「バグ」であるといえるでしょう。たとえば東京都・静岡県・新潟県の各議会では、いずれも委員会審議に複数日程を確保することで、このような状況が生じることを防いでいます。

・連合審査会に関しては、(1) 県の意思決定に関する議案であるにもかかわらず、国の機関(資源エネルギー庁および原子力規制庁)から参考人が招致されていること、また、(2) それぞれ「日本のエネルギーの現状と今後の方向性について」「新規制基準適合性審査の結果等について」と、本条例案とは無関係の意見が聴取されること、の2点につき、すでに問題を指摘しておりましたが、この審議スケジュールについても、大きな問題であることを指摘したいと思います。

【加藤県議の一般質問に関して】

加藤県議の一般質問に対しては、特に以下2点につき指摘します。

a.「(東海第二発電所の再稼働は)はたして住民投票での二者択一で判断できるテーマであるのだろうか」「判断が大きく分かれる難しいテーマ(略)であるからこそ、議会での本格的な議論が行われていない現段階で、住民に賛否を委ねるということを先に決めてしまうことは、議会にとっても、行政にとっても、非常に無責任なことなのではないか」

→ (1) 二択としたのは、再稼働に関する県の意思表示は、同意か、不同意かの二択以外にはあり得ないためです。仮に本件が、原子力・エネルギー政策全般に関する住民投票であれば、廃炉の時期や新設の可否など、「時間軸」を考慮する必要があるかもしれません。しかし今回は、県内の一つの発電所の再稼働が争点ですから、その必要はありません。また、「どちらでもない」などの選択肢も、結果が曖昧なものとなり、解釈に疑義が生じる懸念があるため、適当ではありません。しかし、仮に「二択ではどうしても正確な民意を得ることができない」というのであれば、その時には、可能な限り理に適った、そして具体的な政策形成につながるような選択肢を協議検討すべきではないでしょうか。(2)「判断が大きく分かれる難しいテーマを県民投票で賛否を問うこと」に疑義を呈されていますが、逆に、「判断が大きく分かれない容易なテーマ」を県民投票で問うことには、何の意味もありません。(3)「議会での本格的な議論が行われていない現段階で、住民に賛否を委ねるということを先に決めてしまうことは(略)非常に無責任なことなのではないか」とされるのであれば、継続審議とすべきではないでしょうか。

b. 「パブリック・コメントの有効活用を(略)ご検討いただきたいと思っております」「県民が一つになって、同じ方向で、同じような意見の集約ができますよう(略)ご検討、ご活躍を心からご期待申し上げます」

→ (1) パブリック・コメントは、基本的に、政策等の素案作成後の「事後参加型」手法です。また、包摂性において、直接投票にはるかに劣ります。平成30年度は12の案件に対し477件、令和元年度は5つの案件に対し4件の意見が寄せられたのみです。「茨城空港愛称候補案に関する意見募集」への意見も60件に過ぎません。さらに、要約を含む意見の取りまとめや原案への反映過程における行政サイドの恣意的な操作の可能性が否定できないことが指摘されています。そして何よりも、「一方的な意見や、感情的な意見、また政治的な意見に左右されることのないよう、その環境などにも十分配慮しなければならない」という、自ら設定した論点に関する優位性がまったく論じられておりません。(2)「二者択一ということだけでは語れないこの難しい案件に対して」「同じ方向で、同じような意見」を「集約」するとは、何を意味するのでしょうか。

【大井川知事の答弁に関して】

大井川知事の答弁に対しては、特に以下2点につき指摘します。

a.「現在は、安全性について200を超える論点の検証を開始したところであり、また避難計画についても、数多くの課題の解決に取り組んでいるところでありますので、県民の皆様にどのような情報を提供してご意見を聞くのか、具体的な見通しを立てることは困難であり、ご意見を聞く方法を判断できる段階には至っていないものと考えております」

→ (1) 確かに、安全性の検証中、避難計画の策定中に、その結果について詳細を伝えることはできません。しかし、それは「どのような情報を提供してご意見を聞くのか、具体的な見通し」が立たないことの理由にはなりません(情報として「安全性の検証結果」と「策定された避難計画」を提供する必要があることは自明です)。知事自らもその答弁で「対策にかかる論点を検証し、安全対策によりどのような事故・災害にどの程度まで対応できるのかを、具体的に県民の皆様に示していく」としており、既にその見通しを述べています。(2) 仮に「どのような情報を提供」するかの「具体的な見通し」が立たないとしても、それは「ご意見を聞く方法を判断できる段階には至っていない」ことの理由にはなりません。「ご意見を聞く方法を判断」した上で、情報提供に関する見通しを立てればよいだけです。

b.「今回の条例案に対する私の意見としたところであります」

→「条例案」に対する賛否が不明確です。長野士郎『逐条地方自治法・第12次改訂新版』および松本英昭『新版逐条地方自治法・第9次改訂版』のいずれも、「長が当該条例案を付議するに当たつては、『意見を附け』ることとされている。意見は条例案に対する執行機関の立場からする賛否の意見である。(中略)意見は必ず附けなければならないものと解する。少なくとも賛否を明確にすべきものであり、単に『意見なし』とすることは、もとより、意見を附したものということはできない」とされています。したがって、地方自治法の趣旨に反するものであると言わざるを得ないでしょう。

以上

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